最近、注目されているのが「保護する責任」。従来、国際社会は「内政不干渉」が原則だったが、ルアンダでの虐殺を契機に意識が大きく変化した。政府が国民を保護する能力がなかったり、保護する意思がなかったりする場合、国際社会が代わりに責任を負うというものである。2005年の国連総会で全会一致で採択され、今年のリビア内紛では国連が保護する責任を発動した。世界連邦ができた場合は、この保護責任原則に基づいて動くはずである。
2009年からWFMが保護する責任の事務局となっていて、2011年11月だけでも世界各地で10回もセミナーが開催されネットでも報告されている。日本に世界で起きている動きを伝えるため、日本語サイトを立ち上げたい。
もう一つ注目してほしいのが国連議員総会(UNPA)の考えだ。現在の国連は政府代表によって成り立っているが、EU議会にならって世界や地球全体のことを考えるために、国益代表でない代表を選出しようというのである。
すでに国連憲章22条で補助機関を設ける規定があるので、これを用いれば国連憲章の改正をしなくても議員総会は設置できると考えられている。国連議員総会の設置に対して反対しているのが列国議会同盟(IPU)であるが、列国議会同盟を議員総会に発展させるということを提案していっても良いのではないかと思う。
世界連邦運動ニューヨーク本部では約4億ドルの寄附を集めたが、74%は国際刑事裁判所問題NGO連合、21%は保護する責任の国際連合へのもので、世界連邦運動そのものへの寄附は4%に過ぎない。本部の運動は世界連邦そのものを直接前面に押し出すのではなく、国際刑事裁判所、保護する責任などのプロジェクトで進めて成功している。
1998年に国際刑事裁判所のNGO連合を立ち上げた時は17の団体しか加盟していなかったが、現在はなんと2500ものNGOが加盟している。世界連邦運動のウィリアム・ペイス氏がその代表を務めているが、世界連邦であるということを前面に出してはいないので、他のNGOは中心が世界連邦とは知らないであろう。
2003年国際刑事裁判所が実際に設立されたのは、世界連邦運動の大きな成果である。スーダンでは元大統領が責任追及されることまで起きている。「侵略の罪」について個人責任を追及するようになったのも大きな前進である。今後は核兵器の使用についても対象とすることを求めていくべきである。(伴 武澄)
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